「未知を、価値に。」通信

スカパーJSAT

地盤の変化を ミリ〜センチで見える化

衛星画像を活用すれば、宇宙から地球の「いま」をとらえることができます。これまで衛星画像の利用は、国家の安全保障目的が大半を占めていましたが、今では民間向けのサービスも登場し、用途が広がっています。

インフラの状況把握はその一例です。スカパーJSATが日本工営株式会社、株式会社ゼンリンと共同開発した「LIANA(リアーナ)」は、マイクロ波を用いてミリ〜センチメートル精度の地表の変化をとらえ、モニタリングするサービスです。LIANAが活躍するのは、たとえば斜面・地盤などの変動、ダムや発電所などインフラ点検の現場です。従来は人が現場に出向き、目視や計測器で確認していた変化を、LIANAは衛星画像をもとに把握し、まるで「まちがい探し」のように地表の過去と現在を比較することで、わずかな差分も発見。少ない人員と時間で質の高い点検を実現します。

LIANAのイメージ

また近年増加している道路の陥没事故なども、突発的に見えて実は小さな前兆を伴うことが少なくありません。LIANAは地盤の経年変化などを追跡できるため、各種インフラの予防保全をサポートする手段として有効です。一定以上の変動が観測された際には、能動的な減災対策をとることもできるので、未知の地球観測が、安全を守る価値へとつながるのです。

各種インフラの老朽化が問題視される一方で、維持管理に必要な人材は不足しています。現場の負担を大幅に減らしつつ、精度の高い点検を可能にすることで、この課題を改善するもの。宇宙からインフラの健康を見守る新しい目、それがLIANAです。私たちは、宇宙の技術で社会を支える、新たな価値を生み出しています。

今回のポイント

インフラの異変を宇宙から見つける「LIANA(リアーナ)」

「LIANA」で活躍するのはSAR衛星。SARとはSynthetic Aperture Radar(合成開口レーダー)の略です。地表にレーダーを照射し、その反射を分析することで地表の画像を取得。雲や噴煙を透過し、昼夜や天候に関係なく地表の状況を把握できる点が特徴です。本来、そのデータの解析には専門的な知識が必要とされますが、LIANA上ではカラーや3Dを用いて直感的に理解できる仕組みを開発。また、地図アプリに地盤変動データを重ね合わせたように表示されるため、利用者は地盤の変動状況を手軽に把握できます。

LIANAの管理画面イメージ 「LIANA」をもっと詳しく